【電気工事士】低圧電気取扱い業務に係る特別教育を受けて感電等に関する知識を深めてきた

【電気工事士】低圧電気取扱い業務に係る特別教育を受けて感電等に関する知識を深めてきた

先日の投稿で、資格等の話について書いたのですが、その中の1つである「低圧電気の取扱作業」に関わる講習について少し掘り下げてみました。知っていると思っていたことも案外知らなくて、とても良い機会だったと思います。

低圧電気取扱い業務に係る特別教育とは

正式には「電気取扱い業務に係る特別教育(低圧電気)」で、

労働安全規則第36条第4号の業務 ⇒ 安全衛生特別教育規程第6条に基づく教育

とされています。

そもそもは、事業者に科されたものであり、特定の業務にその事業者に所属する労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育を受けさせるという義務付けだそうです。
そしてこの「特別な教育」というのは、本来は事業者が行えば良いところ、別の業者が代わって行っているところもあります。

今回私は全国にある「コマツ教習所」にて講習を受けてきました。

この講習は2日間コースで、この2日間の日程を全て修了すると、「修了証」がもらえます。
料金は、テキスト込みで18,000円

ちなみにこの講習は、電気工事士でなくても誰でも受けられる講習です。実際、私が参加した時には、業者の方ばかりでしたね。会社から「勉強してこい!」って言われて参加しているような感じでした。

それと、女性は自分一人だけでした。

低圧=直流にあっては750v以下、交流にあっては600v以下

講習の主な内容

1日目:学科

1日目は講義のみですね。テキストを使いながら、講師のお話を聞きます。
主に、感電に関する知識といったところでしょうか?講師の方曰く、電気工事士による感電死亡事故が多いと。毎年15人前後の人たちが亡くなっているんだとか。

また、電気工事士は死線の仕事が多いのに対し、低圧電気を取り扱う人は活線を扱っているから、注意度も高いと。まぁ、電気工事士は死線の仕事が多いというのは一概には言えないんでしょうけど。第一線で電気工事士として働いているわけではないのでよく分かりません。

ちなみに科目はこんな感じです。

  1. 低圧の電気に関する基礎知識:1時間
  2. 低圧の電気設備に関する基礎知識:2時間
  3. 低圧用の安全作業用具に関する基礎知識:1時間
  4. 低圧の活線作業及び活線接近作業の方法:2時間
  5. 関係法令:1時間

合計で7時間以上の受講が必要だそうです。

2日目:実技

2日目は実技の日です。やはり私は実技の方が面白くて好きですね。

習うのはこんな感じです。

  1. 低圧の活線作業及び活線接近作業の方法
  2. 低圧電気の取扱業務(開閉器の操作)もやりました

主にVVFケーブルを使って特殊な接続方法を実践します。そして、ブレーカーの入り切りについて学ぶために、実際にブレーカーやスイッチの配線を作って右手で入り切りをするということをしました。

↓は実際にVVFケーブルで接続をするんですが、今だったらほぼほぼリングスリーブで圧着したり、差込コネクタを使って接続するのが主流の様ですが、昔は↓の様にして接続していたとか。

芯線をグルグルにして接続するのは初めてで、結構指先の力が必要ですね。若干指が痛くなりました。でも面白かったです。

グルグル巻いて接続したら、今度はハンダ付け。ハンダ付けは人生初でした。難しいけど慣れたら楽しそう。

これは端子に芯線を接続。

今回の完成品。↓こんな感じに仕上がりました。

そうなんだ〜と言う内容

この講習を受けて、「え?そうなの?知らなかった」ということがいくつかありましたので、紹介したいと思います。

この講習を受けていないと扱えないこと

電気工事士であっても、この特別教育を受けてないと取り扱ってはダメというものがあったんですね。知らなかったです。

例えば、低圧の充電電路の敷設や修理の業務だったり、配電盤室、変電質等の区画された場所に設置する低圧電路のうち、充電部分が露出している開閉機の操作の業務とか。

人間が感電した時に安全とされている電圧

これはほぼ自分のための覚書として書きます。

① 普通の状態:50V以下 (42V=死にボルト)
② 汗ばんでいる時:25V以下
③ 体が濡れている時:2.5V以下

水気があると電圧が流れ安くなることを覚えていないといけませんね。

感電すると・・・

ちなみに、50mA (0.05A)の電流が人間の体に流れると死んでしまうとのことです。そして、10mAくらいから感電すると手が物体から離れないとか。感電している人がいたら、長靴を履いた足で蹴ると良いと講師の方が言ってました。下手に感電している人に触ると、自分も感電する恐れがありますからね。

めちゃくちゃ怖いと思ったのは、感電直後何も症状がなくても、感電によって細胞が死んでしまうと数ヶ月後に腕を切り落とさなくてはいけなくなる場合があるということ。恐ろしいです・・・。

カーラーの救命曲線

これは初めて知りました。
フランス人のカーラーさんが作ったモノだそうですが、「心臓停止」「呼吸停止」「多量出血」に関わる緊急事態における経過時間と死亡率の関係を示したもの。

ウィキペディアより

① 心臓停止後約3分で死亡率50%
② 呼吸停止後約10分で死亡率50%
③ 多量出血後約30分で死亡率50%

緊急事態が重大であればあるほど、早く適切な処置をしなければ死亡者が増加することを意味しているとのことです。

開閉器は右手で

開閉器とは、いわゆる電力回路・電力機器の正常動作時の電路を開閉(on/off)する電力機器のことで、皆さんもご存知、「ブレーカー」もその1つです。

この講習内で開閉器の操作についても習ったのですが、一般家庭にある分電盤とは別に、「低圧(直流にあっては750v以下、交流にあっては600v以下)の充電電路の敷設若しくは修理の業務又は 配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務」に関わる労働者を対象に講習をしていることになります。

この開閉器の開閉は必ず右手で行うとのこと。その理由は、左手で操作を行いもし感電してしまった場合、電気が心臓を通ってしまう可能性が大で、危険度が増してしまうとのことです。

講習を受けての感想

全体的に、第二種電気工事士の試験のために勉強した大まかな内容を掘り下げた内容の講義だった様に感じました。試験勉強を始めておよそ1年経ったところでこの講習を受けた事になりますが、良い復習だったと思います。

やはり試験勉強だけですと、最低限のことだけを覚える事に注視していたと思いますが、こうやって講習で改めて掘り下げた内容を聞くと、なるほどと思うことがありますね。

最後に

電気工事士の資格を取らなかったら、こう言った講習を受けることはなかったと思いますが、電気工事士としての作業はやはり危険を伴いますので、少しでも勉強をして知識を身につけておく必要はあると思います。

低圧とは言え、電気工事士として作業をするからには安全に気を配り作業したいものです。

今回の講習で分かったことも多かったですが、「知らないと怖い」と思うこともありました。第二種電気工事士の試験勉強だけでは分かり得ないことが多いですので、講習受けて良かったなと思いました。